Nutrition Support Team (NST:栄養サポートチーム)は,1970年代初頭、中心静脈栄養法(TPN)の適応判定と適正実施を目的として米国のボストンで誕生し、TPNの普及とともに世界中に伝播しました。

一方、欧米のNSTが専属チームであったため、わが国ではその普及は拒まれましたが、1998年わが国独自のNST運営システムPotluck Party Method (PPM:持ち寄りパーティー方式/兼業兼務システム)が考案され、これを契機に全国の医療施設でNST設立の機運が高まり、2005年12月末には,少なくとも684の施設でNSTが稼働するようになりました。

NSTプロジェクトとは

2001年2月、日本静脈経腸栄養学会は学会指導でNSTの設立を支援する『NSTプロジェクト』を企画し全国的に活動を開始しました。この NSTプロジェクト は、日本静脈経腸栄養学会のNST委員会の実働組織であり、全国の各施設でのNST設立を支援するための情報提供・情報交換の場の提供や教育講演の講師派遣などを行うとともに、各施設におけるNST活動の質の保証と向上を目的としてNST稼動施設認定などを実施しています。

NSTとは

日本静脈経腸栄養学会では,NST(栄養サポートチーム)を次のように考えています。必要とする栄養も摂取経路も個々の症例、疾患や病態によって異なっています。したがって、栄養管理は、個々の症例・病態に応じて適切に実施されなければなりません。個々に適切な栄養管理を行うことが栄養サポート(nutrition support)であり、それを実施するには、関連する多職種の共同作業が必須です。

医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などの多職種が一致団結して、この栄養サポートを実践する集団が『栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)』です。  第三者機関『日本栄養療法推進協議会:JCNT』では、これに参加する日本静脈経腸栄養学会、日本病態栄養学会、日本外科代謝栄養学会、日本看護協会、日本病院薬剤師会、日本栄養士会、日本臨床検査技師会の統一見解として以下のようなNSTの定義を提唱しています。

NSTの定義
「栄養管理を症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することをNutrition Support(栄養サポート)といい、栄養サポートを医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などの多職種で実践する集団(チーム)をNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)という」
日本栄養療法推進協議会(JCNT)による

したがって、NSTとは次の条件を備えたチーム医療と考えます。

◆施設長が承認している活動であること
◆複数の職種が連携し実践している
◆基準・規約に基づいて活動している
◆個々の必要性に応じた栄養管理計画が作成されている
◆定期的に栄養状態の再評価を行い栄養管理計画が見直されている
◆栄養管理の経過が記録されている
◆定期的な事例の検証が行われている

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